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悲劇のサービス「萌えトーク」

EY-Officeで制作した過去のサービスシリーズ第二弾は 萌えトーク です。 声優タレントとSkypeで会話出来るサービスの予約システムです。

萌えトーク

経緯

以前仕事をした方がベンチャーキャピタルで担当しているプロジェクトに付いての話があり「萌えトーク」の開発が2010年12月にスタートしました。

萌えトーク の運営会社は声優タレントを抱える芸能プロダクションでした。その当時はAKB48が大流行している時代で、ベンチャーキャピタルでは声優タレントをAKBのようなビジネスに成長させようと、その芸能プロダクションに投資していました。

萌えトーク は 登録したファン(ユーザー)が、有料で声優タレントとSkypeでお話が出来るサービスでした。倫理上の理由等で声優さんはプロダクションのオフィスでファンとSkypeで話をします、そのために声優さんのトーク可能なスケジュールをサイト上のカレンダーで表示し、ファンの方が予約するようになっていました。最初のステップでは決済システムは組み込まれてなく、オペレーターが入金をシステムに手入力していました。

開発

システムの仕様はベンチャーキャピタルの担当者がある程度考えていたのですが、芸能プロダクションの社長には上手く伝わっていませんでした。そこでプロトタイプを作り社長にプレゼンを行い最終的な仕様が確定しました。ITに不慣れな方には仕様書等での打ち合わせでは理解が進みませんが、プロトタイプを見せると仕様が一気に決まって行くことが多々あります。

萌えトーク開発

システムは Ruby on Railsで作りました。機能的は

  • ファン(ユーザー)の登録・管理
  • 声優のプロフィール登録・管理
  • 声優のスケジュール管理
  • トークの予約・キャンセル
  • トーク料金の管理

などシンプルものですが、開発期間は1ヶ月半程度の短期間で突貫工事でした。したがって RSpec によるテストコードは一部を除きリリース後に書きました
また、画面のデザインは芸能プロダクションの専属デザイナーの方にイラストレーターで作って頂き、その画像を元にHTML/CSSを作りました。

結末

上の開発スケジュールの通り、3月初めにサービスはオープンしました。ただし最初は昔からの声優タレントのファンのみにアナウンスし、テスト運用を開始しました。
芸能プロダクションの予定では、1ヶ月程度テスト運用を行い、その後で大々的にプロモーションを開始する予定でした。また他の芸能プロダクションにも同システムを利用してもらう営業も始めていました。

しかし、運命の日がやってきました。2011年3月11日午後、東日本大震災です。

幸いにも、「萌えトーク」のシステムや関係者、私も被害はありませんでしたが、多くの方がご存じなように芸能界全体が自粛モードになってしまいました。全てのプロモーション予定はキャンセルされました。サービスはテスト運用のまま続けましたが、1年後には終了してしまいました。

多数のサービスを開発してきましたので、今までにも終了してしまったサービスはいくつもありました。しかし、このようなに劇的な形で終了してしまったのは萌えトーク のみです。

東日本大震災にて亡くなられた方のご冥福をお祈りし、被災者の方々には心よりお見舞い申し上げます。

- about -

EY-Office代表取締役
・プログラマー
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